勉強カフェ岡山・読書会記録2017 vol.3

勉強カフェ・新読書会
今回は2017年3月に開催された読書会の記録です。

この回も毎月読書会を楽しみに参加して下さる会員の方とまた楽しいお話が出来ました。

とりあげた本はこちら。

 

・『明日、微笑むために色を味方にしよう 人生は色に無頓着なままでは変わらない 』七江 亜紀

・『私の個人主義』夏目漱石

 

まず「明日、微笑むために色を味方にしよう」という本。
この本では「出会いがほしいなら黄色!」「自分を好きになりたいなら絶対ピンク!」など、のべ3万人をカラーコンサルティングしたという著者の具体的な言葉が示されます。
私のようなタイプの人間はこういった言葉を聞いて、ついつい「なぜ黄色だと出会いが増えるのだろう」などと考えてしまうのですが、この本を紹介してくれた参加者の方は、実際に自らのファッションをモノトーン基調のものからピンクを基調としたものに変えただけで、自分が優しいものに包まれている気分になり、日常生活の満足度が大きく変わったと教えてくれました。

この本は「書籍」ではありますが、その目的は言葉を用いた厳密な論理を私達に示すことではなく、「色」そのものから私達がどのような雰囲気を受け取るのか、また漠然と自分の心が「赤」や「黒」などの特定の色を求めてしまうことに着目し、「色」が私達に与える影響を良い方向に使おうと教えてくれるのですね。「色」は自分が見るもの、身につけるものであると同時に、人から見られるもの、人が感想を抱くものでもあるという事実を踏まえ、カラーコーディネートによって自らの生活を特定の雰囲気へと導くという実践的なものであると感じました。

 

「私の個人主義」の方は、端的に説明すると「文豪漱石の講演集」というお堅いイメージのものになってしまうのですが、その講演題目は「道楽と職業」「現代日本の開花」「中身と形式」「文芸と道徳」「私の個人主義」と並んでおり、最初の「道楽と職業」などは市井の私達にとってもよく分かる内容の講演となっています。

というのも漱石の心情として「元来文学上の書物は専門的の述作ではない、多く一般の人間に共通な点について批評なり叙述なり試みたものであるから、職業の如何にかかわらず、階級の如何にかかわらず、赤裸々な人間を赤裸々に結び付けて、そうしてすべての他の障壁を打破するものであ」るというのがあります。彼は人々が「人間として相互に結び付く為のもの」として文学を考えていたようですし、職業が細分化した果てのあらゆる専門(家)、およびそれを無思慮に称揚する世間の価値観(積極的な差異化、分業による人々の分断)に不信感を抱いてもいました。

ですから、特にこのような講演において漱石は実際に、様々な階級、職業、高等教育を受けたもの受けていないもの、を相手に自分の考えが伝わる様に話をしています。
また、この『道楽と職業』という講演は明石で行われたのですが、その聴衆の中には漱石を先生と呼んで慕っていた内田百閒がいたことが内田百閒の短編『明石の漱石先生』から分かるというのも面白いです。興味がある人は氏の私の「漱石」と「龍之介」』という本に収められているので読んでみて下さい。

 

 

以下、本読書会の基本情報を掲載します。

勉強カフェ岡山スタジオで開催している読書会は、それぞれの方がお好みの本を持ち寄り、自由に紹介していただくという形式をとっています。他の参加者の方との雑談を通して、新たな価値や自分の今までの認識を発見するといった側面に重きを置いています。
今までの読書会では、海外文学小説、日本現代小説、エッセイ、人文系哲学新書、科学エッセイ、ビジネス実用書などが紹介されました。参加者の方は、特定のジャンルの本の紹介をしていただいてもよいですし、或いは多様なジャンルに挑戦してみても面白いかもしれません。

書籍の内容紹介、人に感想を発表するなんて大変だ、とお思いの方。

私達も手探り状態で読書会を開いていますので、まだまだ正解はありません。初参加の方も他の方の発表をみて学び、気軽に意見を交換してみましょう。

皆様の参加をお待ちしています。

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開催日時: 19:00~22:00の間で2時間程度 毎月第3・4週の平日開催
開催場所:勉強カフェ岡山スタジオ内セミナールーム
定員:5名程度
参加費:会員、非会員とも無料(ただし非会員の方は時間分の勉強カフェビジター料金1,080円を頂きます)