今回の後編は前編に引き続き、『物語思考』(けんすう著)で述べられている内容を元に、私達のサービス内容が利用者の方々にとってどのような価値があるのかということを考えていきます。
前編では価値を考える上での第1の問いとして、
「『勉強カフェ』を利用している人達のキャラクター性とは何なのか。どのような人が勉強(行動)しているのか」
について、利用者様のキャラクター性と『勉強カフェ』の特徴について書きました。
その答えは「勉強する理由(目標・夢=理想)を持ち、その達成に至る過程を充実させる為に勉強カフェを選んだ(=お金、時間、労力をかける)人」となりました。
そして私達『勉強カフェ』のサービスの価値とは、単なる勉強場所の提供に留まらない「その場所に集まっている人々(会員様、元会員様、スタッフ等)のキャラクター性、物語性からも生まれている」ということを確認しました。
勉強仲間との交流会。皆さん様々な勉強、経験を積まれていて話も弾みます。
後編は引き続き第2の問い
「『勉強カフェ』はそのキャラを行動させ、結果を出す(キャラが活きる)のに相応しい環境なのか」
について書いていきたいと思います。
『物語思考』内ではステップ4以降の内容が中心になります。ステップ4「キャラが最高に活きる環境を作ろう」には「環境とは周りの人のこと」という章がありますが、その中には「行動の連鎖反応」「限界質量」といったキーワードと共に「自分が理想とするキャラの行動をしている人の中に交じるだけで自分も行動できるようになっちゃう」という記述があります。
前編で紹介した「とにかく現在の自分自身を変えたくて、努力している人々の中に身を置きたくなりました」との会員様の言葉はまさにその通りだと感じています。
スタッフとして勉強カフェ内で日々を過ごしていると、前編に書いた共通のキャラクター性の他に個々人の固有性というのも段々と見えてきます。
一例ですが、ご利用中の会員様の中で「この人は毎日朝1番に来てるな」「この人が最後の時間までご利用されてるな」「電卓を使っている方々は、簿記、税理士、会計士、どれに取り組んでいるのかな?お互いに会話などしてみたいかな?」「あの受験生の子はいつも利用した後に自分の机を拭いて帰ってくれてるな、偉いな」など、私達スタッフが気づいたことはなるべく日常会話の中でフィードバックするようにしています。
これは共通のキャラクター性の他に「利用時間の長さ」「勉強している内容」「丁寧で誠実さが伺える振る舞い」など、会員様が無意識に行っていると思われる動作も含めて、この人はこの部分が特徴的だな、素敵だなと感じた部分はお伝えして自己認識していただくといった感じですね。このようなフィードバックにより皆様の良さがより発揮されると考えています。
また、私達スタッフが気付いていることはご利用中の会員様同士でも気付かれていることが多く、例えば同じ資格試験を目指している人同士の交流会などを開催すると「朝から晩までいらっしゃいますよね、いつ寝てるのか気になります笑」とか、「集中力を途切れさせない為にやってることとかありますか?」「いつも飲んでらっしゃる栄養ドリンク、良い効果があるのですか?」といった具合に、その人がとっている行動を前提にしたコミュニケーションがすぐに活発になります。
そうして各自の固有のキャラクター性が認知されると、コミュニティ内で各自に役割が付与されたような状態になり、よりキャラクター性と行動が結びついていきます。
「自分は朝一番に来ることを期待されているかも知れない。この期待は裏切れないな」など、元々の行動動機に加えて勉強カフェに来る理由=勉強に繋がる行動が増えていきます。これはキャラが活きて(≒よりキャラが成長して)行動に繋がっていると表現して良いのではないでしょうか。
勉強カフェ岡山スタジオは9年目に入り、多くの会員様がご利用の後、受験・就職などされていきました。
前編の中で「勉強カフェは最終的に到達する場所ではない」けれど「各自が次へ進むための立ち寄り場所」「何度でも帰ってこれて、初心を思い出しながら成長する場所」として、ドラクエにおける『ダーマ神殿』みたいな可能性を感じる場所にしたいと書きました。
現在の勉強カフェのコンセプトである
『LEARNING NEVER ENDS.』
こちらを末永く皆様と共有出来るよう、今後も取り組んでいきたいと思います。